「月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり。」
学生時代無理やり頭の中に詰め込んだもののひとつに、
古典の序文があって何十年経った今でも途切れ途切れに
覚えているものです。
奥の細道はここから始まります。
時々ぼくはこの序文の一節が頭に浮かびます。
「道祖神の招きにあいて、とるもの手につかず。」
芭蕉が旅に出たくて仕方なくなるのは、旅の神様に
手招きをされているからだそうです。
僕も無性に絵が描きたくなるときがあります。
そんなときはなにもかもほったらかして
絵を描いてしまいます。
「人としていかがなものか?」といった具合に
ほったらかすので少し罪悪感にも苛まれますが、
「物作りの神様に手招きにあってしまったんだ。
仕方ない。」と思うことにしています。
5月16日は旅の日。
元禄2年3月17日、今の暦で5月16日に松尾芭蕉が
「奥の細道」への旅を始めた日だそうです。
2015年5月アーカイブ
まるでバトンを手渡すように、この季節はいろんな花が
つぼみを咲かせては見ごろを終えてゆきます。
ほんとうはこの横の絵に「五月は花水木。」と
思っていたもののどうやら季節を見誤り、
ここ京都では「もうおしまい」といった感じでバトンは
次のつつじにわたった模様。
「ならばつつじを」とも思いましたが、
つつじには悪いのですが気分がそがれた感じで、
5月2日は「えんぴつの日」ということでこれ。
日本ではじめてえんぴつが作られた日らしいです。
「じゃあ外国では?」と思いきやその疑問はさておいて、
「えんぴつ草」も1000枚目間近です。
まわりは春のバトンをてわたすように移り変わりが
激しいものの、僕はずっとえんぴつの上にねころんで
ぼんやり雲を眺めているみたいです。
さてさてどうしたものか。
風薫る五月です。